【英国ヴィンテージのある暮らし】アーコール社 No.370 フープバックチェアの魅力と誕生秘話

【英国ヴィンテージのある暮らし】アーコール社 No.370 フープバックチェアの魅力と誕生秘話

英国ヴィンテージ家具を代表する名門ブランドERCOL(アーコール)。

その数ある名作チェアの中でも、愛らしい弓形のシルエットと、包み込まれるような優しい座り心地で、長年「アーコールの王道」として親しまれているのが「フープバックチェア(Hoop Back Chair)」です。

一目見たら忘れられない弓形の美しいアーチと、体に寄り添う優しく丸みを帯びたデザイン。

今回は、当時の公式カタログに刻まれた歴史的背景と、「日常の家具」としての上質な魅力を、ケントストアの視点から紐解きます。

1.正式名称「No.370 Windsor Dining Chair」オイスター型座面と機能美

— Photo: ercol Official Archive —


現代のヴィンテージ市場では「フープバック」という通称で広く親しまれていますが、当時のアーコール社のカタログにおける正式名称は「No.370 Windsor Dining Chair」(肘掛け付きはNo.370A)です。

当時のカタログには、この椅子の構造美と機能性を誇る魅力的な解説が残されています。


"The most simple design of Windsor Dining Chair..."

(ウィンザー・ダイニングチェアの中で最もシンプルなデザイン…)

装飾を極限まで削ぎ落とし、英国伝統のウィンザーチェアを現代の暮らしに合わせて最も美しく、簡潔に昇華させた「アーコールの原点」とも言えるモデルです。

この椅子の構造美と機能性を誇る魅力的な解説が残されています。

特に目を惹くのが、踏ん張るように八の字に大きく外側へ開いた脚(widely spread legs)と、牡蠣の殻のように滑らかな曲線を描く「オイスター型(oyster-shaped)座面」です。この計算された座面直下のフレーム構造が、優れた安定感と独創的な造形美を同時に生み出しています。

さらに注目すべきは、日常使いにおける高い機能性です。
本来のNo.370は座面裏のストラップとスナップボタンで専用クッションを固定できる設計でした。汚れたらカバーを取り外してドライクリーニングができるこの画期的な工夫は、当時のアーコール社がいかに暮らしの利便性を追求していたかを物語る貴重な証拠と言えます。

2. 職人の手から生まれたアーチ|「蒸気で木を曲げる」革新と誕生秘話

— Photo: ercol Official —

フープバックチェア(No.370)のシンボルである背もたれのアーチ。実はこれ、パーツを貼り合わせたものではなく、「1本の無垢材」を蒸気で曲げて作られています。

1920年にアーコール社を立ち上げたイタリア出身のデザイナー、ルシアン・アーコラーニ(Lucian Ercolani)。

彼が目指したのは、格式高すぎず、かといって安物でもない「誰もが手に入れられて、一生使える美しい椅子」でした。

その理想が大きく前進したのが、第二次世界大戦中の1940年代。物資不足に苦しむイギリス政府から頼まれた「省資源で頑丈な家具を作る」という国家プロジェクト(ユーティリティ家具計画)でした。

ここでルシアンは、高温の蒸気で木を柔らかくして曲げる「スチームベンド(蒸気曲木)」の技術を極限まで磨き上げます。

100℃を超える蒸気の中で木をしならせ、職人が一気に型にはめ込む――。 この技術革新によって、1950年代、細身で可憐なのに驚くほど頑丈な「No.370 フープバックチェア」が誕生しました。

3. 毎日座りたくなる「3つの理由」|デザインと座り心地の秘密

部屋の印象を優しく変えてくれるフープバックチェアには、長年使われてきたからこその「暮らしに嬉しい工夫」が詰まっています。

① 背中を面ではなく「点」で包む弓形アーチ

【4本スポーク(4-Spoke)の特徴】

背もたれの棒(スポーク)が4本で構成されたモデルは、フープバックチェアの中でも特にすっきりと軽やかな印象を与えます。
スポークの間隔が広く視線が心地よく抜けるため、ダイニングテーブルの周りに数脚並べても部屋に圧迫感を与えません。
装飾感が抑えられたすっきりとした佇まいは、英国ヴィンテージだけでなく現代の北欧インテリアやシンプルな国産家具とも抜群の相性を誇ります。
視覚的にも重量的にも軽快で、お掃除の際や日常の取り回しがスムーズに行えるのも大きな魅力です。小さめのダイニング空間や、お部屋をより広く明るく見せたい方に最適な一脚と言えます。

【5本スポーク(5-Spoke)の特徴】

背もたれのスポークが5本で構成されたモデルは、フープバックチェアのバリエーションの中でも特にデザインと機能のバランスに優れた人気の一脚です。
背中を程よく包み込みながらも、空間に心地よい抜け感を与えてくれます。中央に配置された一本のスポークがデザインの美しく均整の取れた軸となり、アーチ(フープ)の曲線美をより一層引き立てる効果もあります。
重たすぎず浅すぎない快適な座り心地は、毎日の食事から食後のリラックスタイムまで幅広く寄り添ってくれます。美しい造形と日常使いの快適さを求める方に、自信を持っておすすめできる選択肢です。

【6本スポーク( 6-Spoke)の特徴】


背もたれに6本のスポークが整然と並ぶモデルは、よりクラシカルで手仕事の温もりが引き立つ贅沢なデザインです。
スポークの本数が多い分、背中にかかる体重が細かく分散され、身体のラインに寄り添うように心地よくフィットします。
食後の歓談や長時間の読書でも疲れにくい安心感のある座り心地を実現しています。アーチの中に緻密に並ぶスポークが美しい影を生み出し、一脚置くだけで空間の主役となる豊かな存在感を放ちます。
一本一本丁寧に削り出し、正確な角度で組み上げた高いクラフトマンシップをよりダイレクトに実感していただけます。

② カタログも誇る「オイスター型座面」と座ぐり加工

座面には、大ぶりで美しい木目を持つエルム(ニレ)無垢材を使用しています。 職人の手仕事によって、お尻の形に合わせて深く滑らかに削り出された「座ぐり(Saddled Seat)」が施されており、板座とは思えないフィット感を実現しています。

③ 空間を圧迫しない「透け感」と軽さ

背もたれから足元まで視線が心地よく抜けるため、ダイニングテーブルの周りに4脚〜6脚並べても部屋が狭く感じません。
また、見た目以上に軽量で、掃除や席を立つ際も軽やかに動かせます。

4. ヴィンテージ品を選ぶとき、ここだけは見てほしいポイント

ヴィンテージのフープバックチェアを選ぶ際、本物ならではの魅力を確かめるポイントです。

  • エルム材の「力強い木目」

座面に使われるエルム材は、一脚一脚全く異なるドラマチックな木目を見せてくれます。何十年もの時を経て琥珀色に深まった木肌は、ヴィンテージだけの宝物です。

  • 伝統の「くさび(楔)」止め

脚の先端が座面を貫通し、上部から木製のくさびが打ち込まれているか確認してください。
金属のネジに頼らず、木同士の力でがっちり噛み合わせる英国伝統の技法です。

  • 年代を伝える刻印やステッカー

1950〜60年代の青いライオンマーク(ブルーラベル)や1970年代のゴールドラベルなど、座面裏に年代の証が残っているものもあります。

5. なぜケントストア(KENT STORE)のフープバックチェアは一生ものなのか

約60〜70年前に作られた家具を、現代の日本の家で安心してお使いいただくために。ケントストアでは「仕入れてそのまま売る」ことは絶対にしません。

自社工房の専門職人が、以下の丁寧なリフレッシュを施しています。

  1. 一脚ごとの状態に応じた最適補修

    長い年月で乾燥し緩んだ接合部は、無駄な負荷をかけず「ガタつき」を根本から解消します。

  2. 木肌と向き合う「最適塗装アプローチ」

    一脚ごとの状態を見極め、エルム材本来の美しい木目と心地よい手触りを最大限に引き出します。

家族の思い出を紡ぐ、特別な一脚を

— Photo: ercol Official —

ルシアン・アーコラーニが「人々の暮らしを豊かにしたい」という情熱を込めて作ったNo.370 フープバックチェア。

朝の食事、午後のティータイム、夜の団らんのひととき。 触れるたびに木の温もりを感じ、世代を超えて受け継いでいける名作を、あなたのお部屋にも迎えてみませんか?

【英国ヴィンテージのある暮らし】を叶える、最高コンディションの一脚をぜひケントストアで探してみてください。

【お知らせ】フープバックチェアも「First Antique」対象商品です

ケントストアが挑戦する特別なプロジェクト「First Antique(ファーストアンティーク)」。

「初めてヴィンテージ家具を買うけれど、グラつきや傷が心配…」という方にも安心していただけるよう、自社工場での徹底的なメンテナンスはそのままに、驚きの特別価格でご提供しています。

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